創建当時のブルーモスクのタイルも、いまよりもっと青が濃かったといわれる。しかし、材料の耐久性には何の心配もいらない。ちなみに世界最古のタイルは四千年以上も前のピラミッドで発見されている。焼成されたタイルは、千年を超える建築材料であり、理論的には一万年耐えるといわれている。ブルーモスクは、高さ四十三メートル、直径二十三メートルの大きなドームをもち、屋根は煉瓦でつくられている。しかし、通常の煉瓦ではこれだけ大きな空間を支えることはできない。そこで、地中海の煉瓦工場で、特別に軽い煉瓦をつくらせた。地中海の島でつくる煉瓦の原料には、石灰石と粘土が混ざり合っている。石灰を焼くと多孔質の軽量煉瓦ができあがる。適当な軽さと強度をあわせもつ土がある。大きなドーム空間を支えるには、軽い煉瓦だけではなく、煉瓦と煉瓦を接着させる目地漆喰にも工夫がなされた。建築当時、まず最初につくったのはなんと大規模な鳥小屋だったという。なぜ鳥小屋なのだろうか。鳥の卵白は目地漆喰の中に入れると流動性と強度が増加する。つまり、卵白は目地材料を補強するための添加材だったのだ。そこで、最初に鳥小屋を建てたのである。昔の人の知恵は深い。
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