インフレからデフレ時代へと、歴史的な転換が起きる中で、「持たざる経営」という言葉が流行語となった。それまでの、所有する不動産の担保評価の上昇を利用して資金調達をする日本型の経営が揺らいでいく契機ともなった。バブルの崩壊、その後のデフレ経済の到来は、個人の意識にも変化を与え、保有する不動産を売却して、バブル期の借金などの精算を余儀なくされた例も多くあった。いずれにせよ、デフレ時代に入り、不動産の価値に見切りをつけ、新しい時代への対応をする人も出てきた。日本の「土地神話」の終焉を確信する人が増えてきた時であった。その後は、超低金利と金融緩和で、ファンド、マンションなどのデベロッパーが、都市圈で土地やオフィスビルを取得する動きを活発化させたが、ほんの数年間でその動きも幕が閉じられ、「ファンド」の取得した各種の不動産が、リーマン・ショック後に、再び他人へ売却されていくことになった。このリーマン・ショック後には、従来の不動産の所有者が不動産を売却する動きが着実に強まっていて、「静かなる息の長い」交代の時代が来ている。それは、デフレ経済の長期化、将来の生活不安、町齢化社会の進行、資産の組み替えの動きなど、単に経済的な視点からだけではなく、国民の多くが、これからの自分の人生を考えはじめたことによる結果である。
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