改装が成ると、子どもには子供部屋が、ぼくには新しい書斎ができるし、妻にとってはこれまでの子供部屋が納戸兼家事室として使えることになるので、三方めでたいのである。子どもがこの改装工事の完成をたのしみにしていることはもちろんだが、その反応は長男と次男でそれぞれに違う。すでに自分の机を持っている長男は、父親が使っていたスペースが自分のテリトリーになることを、父親に一歩近づくように感じて喜んでいるらしい。とくにこれまで悩んでいた「自分のものをしまう棚」の不足が、自分の机を現在のぼくの机と同じ位置に置き、その脇の作り付けの広い本棚が使えることで解消することでご満悦である。
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一方、これまで机がなかった次男は、兄と同じように自分の根拠地を持てることをたのしみにしているのだが、その期待の対象は机そのものよりも、付属している引き出しが自分のものになることにあるらしく「野球チップスのカードが整理してしまえる」ことを強調する。こういう子どもの反応を見ていると、家庭の状況によって形や時期は異なるにしても、子どもに自分のテリトリーを与えるのはいいことではないか。もちろん、ぼくは、教育熱心な親が子供部屋を結果的に勉強のための「独房」にしてしまいがちな日本の現状を考えると、子供部屋への懐疑もそれなりの意味がないではないとは思う。しかしそれは、家族の共同空間(居間や食堂)の役割と合わせて考えるべき問題であって、単純な生活時間の調査だけから「子供部屋があると家族のだんらんが少なくなる」と言うのは、統計学の原理からしてもデータの処理になにか問題があるのではないか。ましてそこから「子供部屋は子どもの成長・発達に悪影響がある」という結論を導き出すのは行き過ぎだと思う。