建設省建築指導課は、戦前に定められた「市街地建築物法」を大急ぎで改正し、基準法へ書き換えていく。日本と同じく地震が多発するカリフォルニア州の「ユニホーム・ビルディング・コード(UBC)」を参考にした。大都市が焦土と化した敗戦から数年しか経っていない。国民は猛烈なインフレで家を建てたくても資金はなく、資材もない。米国の理想と日本の現実には大きなギャップがあった。そこを建設官僚は巧みに泳ぐ。建築基準法は、第一条で、「建築物の土地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資すること」と目的を定めて世に送り出された。
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「最低の法準」を決めた法律である。法案策定に携わった元建設省官房審議官は、こう語っている。「(建築基準法の)担当官はスタニックという人ですが、前身はなんだと聞いたら、ロサンゼルスの建材屋の番頭でしたが、なにも知らないんです。マッカーサーとか偉い人は教養人かもしれないけれど、建築を担当するGHQのスタッフにはなり手がいないわけです」(『「証言」日本の住宅政策』)GHQの担当者は無力だったようだ。法案づくりは、建築指導課が仕切ったといえるだろう。